原稿作成ガイド
CLIP STUDIO設定
CLIP STUDIOで原稿を作る場合の設定や書き出し方法、モアレさせないコツなどをご紹介。
基本的な漫画の描き方は「基本項目」「表紙原稿」「本文原稿(画像)」をご覧ください。

基本的な設定(新規作成・書き出し等)

新規作成

ファイル→新規から設定を行います。
・「同人誌入稿」でページ数を入力
・「コミック」で複数ページにチェックを入れてページ数を入力
上記のいずれかでファイルの作成を行うと、必要なページ数分のclipファイルが作成されます。(EXですと管理用のcmcファイルも同時に同じ階層に保存されます)

同人誌入稿
コミック
ご入稿の際にはこのファイルではなく、PSDに書き出したものをお送りください。
書き出し形式
「製本(仕上がり)サイズ」の項目で作りたい本のサイズを選んでください。
マイページからご注文の際にも、ここで選択したものと同じサイズで注文してください。

サイズ選択
サイズ選択
クリスタでのサイズの説明はこちらをご覧ください。
トーン(アミ点)ありの原稿を作る場合は、編集後に拡大・縮小を行うとモアレが発生してしまう場合がありますのでご注意ください。
サイズ変更をする場合は、書き出し設定をご確認ください。

「同人誌入稿」から作る場合は、「同人誌印刷所」の項目で【ポプルス】を選択していただくと3mmの裁ち落とし幅が設定されます。(5mmでもOKですが、弊社では3mmで大丈夫です)

印刷所選択
基本枠が表示されたファイルが自動的に作成されますので、弊社のテンプレートを使わなくても漫画を描き始める事ができます。

カンバス

繋がった表紙を作る

「CLIP STUDIO EX」ご利用の場合は、「同人誌入稿」で下のような設定をすると繋がった表紙と本文を一括で管理できます。

表紙設定
「コミック」でも表紙のチェックをすれば設定可能です。

コミックから設定
上の画像では、白上質90Kで20ページの本を想定しているので1.20(1.2mm)を入力しています。
実際はご入稿の本の本文用紙と総ページ数に合った数値を入力してください。
⇒背表紙の幅について

一覧
表紙を書き出す際には「見開きページを分けて書き出す」のチェックを外してください。
表紙裏表紙が合体された状態でのご入稿がオススメです。
※快速本ご利用時は必ず繋げた状態でご入稿ください。


本文は逆に繋がった状態では入稿せず、1ページごとバラバラにしてださい。

表紙書き出しの注意
表紙書き出し指定
表2・3の印刷オプションを利用しない場合は、表2と表3の原稿は不要です。
(白紙でご入稿いただいた場合、こちらで削除いたします)

本文の書き出し設定について

「CLIP STUDIO EX」でcmcファイルで管理をしていることを前提に説明いたします。
PROや他ソフトですと選択肢が違ったり無い機能もございますが、最終的にご入稿いただくデータが以下の解説の通りになっていれば問題ございません。

一括書き出し
まずは書き出したいcmcファイルを開いた状態で、「ファイルメニュー」から「複数ページ書き出し」→「一括書き出し」と進み、書き出し用のダイアログボックスを表示します。
上の「.pdf(PDFフォーマット)」は選択せず、PSDにしてください。
他社様では漫画でもPDF入稿を指定している場合もありますが、弊社ではPSDでお願いしております。

拡張子

一括書き出し
★EX以外(PROや他ソフト)では、ファイルごとに「画像を統合して書き出し」を選択するか、作業用ファイル(.clip、.sai等)を統合してから「別名で保存」→psdを選択してください。
画像を統合して書き出す
「画像を統合して書き出す」は必ずチェックを入れてください。
チェックを入れないと効果レイヤーやフォント情報が残ったままのファイルで書き出されてしまうため、意図しない印刷結果になる可能性がございます。
⇒レイヤーは統合して入稿しましょう!

※ただし、印刷会社のテンプレートを貼った場合など、不要なレイヤーは削除してから統合しましょう。
ファイル名
ファイル名を付ける場合、文字化け防止の為に半角英数字で入力してください。
一括書き出しならファイル名の後に通し番号が自動で振られます。
何も入力をしなかった場合は、数字のみのファイルが出力されます。

文字化け Macintosh(Mac)→Windows間でのデータのやり取りだと特に多いです。
拡張子が壊れてしまう(「.」が抜けたり別の文字に置き換わる)こともあり、かなり危険です。
ページ範囲
ページ範囲は本文を全て書き出した方が安全です。
※表紙込みで1つのファイルで管理していた場合は、表紙は表紙、本文は本文で一括書き出しすると「表紙をモノクロで送ってしまった」というような事故を防げます。 一括書き出し
一括書き出し後に特定のページだけ修正して再書き出しをしたい場合、特定のページだけ書き出すと間違いの元となりますので、改めて全ファイル書き出し直すのがオススメです。
その際、元のファイルはいったん全て削除するようにしましょう。

間違いの元となりますのでお勧めできませんが、一旦ご入稿いただいた後に差替えをされたい場合は、バージョンが分かりやすいようにファイル名を付けていただく事と、どの部分が変わったのかご連絡いただけますと幸いです。
★ポプルスでは受付確定以降の差し替えは原則有料となります。
見開きページを分けて書き出す
本文書き出し時は「見開きページを分けて書き出す」にもチェックを入れてください。
特に、見開きページが多い原稿で繋がったままご入稿された場合は、再入稿いただくか追加の作業料金が発生する場合もございます。 見開きのまま
表紙の書き出し設定についてはこちらをご覧ください。
全て設定したら「OK」をクリックして次の画面に進みます。

一括書き出し (※画像クリックで拡大できます)
背景として出力する
「「背景」として出力する」にチェックを入れてください。

背景
前項でレイヤー統合をしているのでイラストの見た目の変化はありませんが、レイヤーがロックされるのでより安全なファイルになります。
テキスト
漫画であったり、イラストにコメントを入れている場合は「テキスト」のチェックが入っていないと文字が抜けてしまいますので必ずチェックを入れましょう。

テキストなし
トンボと基本枠
「トンボ」はチェックがあってもなくても印刷に問題はありませんが、「基本枠」は必ず外してください。 以下のように、基本枠や仕上がり枠が印刷に出てしまいます。

基本枠あり
また、基本枠は非表示になっていたとしても、下描きが残っていたり、テンプレートご利用時に消し忘れていると以下のようになります。
下描きとテンプレ残り 出力したファイルはそのまま入稿せず、必ず見た目やサイズのチェックをしてからご入稿ください。
意図的にラフページを入れる場合は、白紙ページ同様にメッセージ等でお伝えいただけるとお客様へのご確認が発生せずに済みます。
トンボの裁ち落としまで
出力範囲は必ず「トンボの裁ち落としまで」を選択してください。
原稿が中央に配置されていれば「ページ全体」でも受付可能です。この場合は上記説明の「トンボ」にチェックを入れてください。(詳しくは後述)
「トンボの内側まで」は選択しないでください。断裁時に端に白い部分が出てしまいます。
⇒断ち切りってなに?
表現色は出力したいものによって異なります。

表現色
モノクロ本文なら原稿の作り方に合わせて「モノクロ2階調(閾値)」「モノクロ2階調(トーン化)」「グレースケール」のいずれかをご選択ください。
表紙やカラーイラストの場合は、RGBで作成されている場合は「RGBカラー」がオススメ!
「元データからの拡縮率」は原則的には100%のままにしてください。

元データからの拡縮率
「A5の本を作りたいのにB5で描いてしまった!」などのやむを得ない場合や、再録本で初版からサイズ変更する場合は違う数値にしなければなりませんが、漫画原稿(特にアミ点使用時)は「拡大縮小の処理」の設定を「コミック向き」「品質優先」にすると多少モアレを軽減できます。
拡大縮小時の処理
⇒トーンについて
⇒トーン書き出し時の注意

出力サイズは拡縮率の下に表示されています。

出力サイズ
上の画像の例だとA5の本の数値です。「トンボの裁ち落としまで」選択時に幅154、高さ216で単位はmm、解像度600と表示されていれば正しい数値です。
断ち切りを5ミリに設定していた場合は幅158、高さ220と表示されていると思いますが、そのまま入稿していただいて大丈夫です。
幅148、高さ210と出ていたら断ちなしになっているので間違いです。
作業中はタイトルバー部分にも表示されています。こちらは全体サイズと製本サイズ(断ちなしの実際の本のサイズ)になっています。

サイズ
クリスタやコミスタの漫画機能で原稿を作る場合、原稿の全体サイズは本のサイズと異なります。

例えばA5の本の場合は、全体のサイズは幅182mm高さ257mm(断ちなしのB5サイズ)になっていて、その中央に幅154mm高さ216mmのA5断ちありデータが配置された状態となります。
紙の原稿用紙のようなものとイメージしていただければわかりやすいかと思います。

書き出しの出力範囲で「トンボの断ち落としまで」を選ぶと右の状態になりますので、その状態でご入稿いただけますと幸いです。

全体と裁ち落としまで
他のサイズでも同様に、原稿の全体サイズと本のサイズは別となります。
以下の表が全体サイズと本のサイズの関係です。

製本
サイズ
トンボの
内側まで
(非推奨)
トンボの
裁ち落としまで
(3mm設定の場合)
ページ全体のサイズ
B5182×257188×263210×297
A5148×210154×216182×257
A4210×297216×303257×364
B6128×182134×188148×210
文庫(A6)105×148111×154128×182
新書107×175113×181※クリスタテンプレなし

★失敗例としてありがちなのが「ページ全体のサイズ」を「本のサイズ」と勘違いしてしまい、B6用の原稿にA5用の内容を描いてしまうといったことです。
この場合はトンボにチェックを入れず「ページ全体」で書き出せば、仕上がりサイズのA5原稿にはなります。
断ち切り分が無く、本にしたときに白い部分が出てしまう可能性がありますので、お客様には念のためご確認させていただきます。(急ぎの製作の場合そのまま進行いたします)

B6全体にA5

★また、以下のようにA5サイズのご注文で「全体サイズ(この場合はB5サイズ)」いっぱいに原稿が書かれている場合、弊社ではA5サイズで作りたいのか、B5サイズで作りたいのかが判りかねます。
A5サイズにトリミングしてしまうと文字が大幅に切れてしまいますので、B5の本として受け付けるか、A5サイズに縮小するかをお客様にご確認したり、再入稿をお願いすることがございます。

サイズミス
ご確認事項の返答待ちの間は作業がストップしてしまうので納期に間に合わなかったり、料金変動が発生する可能性もございます。
入稿前に「出力された原稿のサイズ」と「作りたい本のサイズ」が合っているか必ずご確認ください。
★クリスタ、コミスタ以外のソフトを使用したり、漫画の管理機能を使わずに直接サイズを入力してカンバス作成をした(例:A5本を作りたいので幅154mm・高さ216mm・解像度600dpi)、弊社のテンプレートを直接開いて編集した場合などは全体を書き出してください。

サイズ
ただし、他社様のテンプレートを利用して原稿を作成した場合は周囲に余白やトンボが付いていることが多いと思いますので、テンプレートに対して必ず中央に原稿を配置してください。 他社テンプレ例 ポプルスのテンプレートはこちら
サイズはそのまま全体書き出しでOKですが、説明や印刷範囲のレイヤーは必ず最終的には破棄してから統合してください。

トーンや素材を使うときの設定

クリップスタジオではグレーのベタやモノクロ2値のアミ点を同一原稿上で混在させる事ができます。
色々な表現を可能にしていますが、印刷品質の低下につながる場合もありますので レイヤーの設定や書き出しの際に注意が必要な点がいくつかあります。

■「グレースケール」ではなく「モノクロ2階調(閾値)」で書き出してしまった
「閾値」を選択すると、一定の濃度以上は黒、それ以下は白で書き出されます。
グレーベタを使用していない原稿ならこちらで問題ないのですが、使用している場合は以下のように薄い色で表現した服の柄や背景は飛んでしまいます。
閾値
「モノクロ2階調(トーン化)」で書き出すと上のようなことにはなりませんが、グレーを生かした原稿ではなく全てトーン化されて書き出されます。
写真や表紙画像の流用がある場合は「グレースケール」のままご入稿いただいた方が元の絵が分かりやすいです。

グレーとトーン化 同じ部分の拡大表示ですが、アミ点の大きさにかなり差が出ます。

■拡大、縮小をして「グレースケール」「イラスト向き」で書き出してしまった
グレーベタしか使用していない原稿ならA5⇔B5程度の拡大縮小をしても多少ぼやけるくらいで済みますが、トーン(アミ点)がある原稿でそれをしてしまうと「モアレの原因は何?」でも説明したようなモアレ原稿になってしまいます。
例えば、以下のようなデータがあったとします。

グレーとアミ点混在
このデータを「グレーを残したまま縮小」しなければならなくなった場合、「拡大縮小時の処理」でどちらを選んだかで結果が大きく異なります。

グレーとアミ点混在
「イラスト向き」を選択してしまうと、アミ点にアンチエイリアスがついてモアレが発生してしまいます。
初めから原寸で作成して拡大縮小しないのが理想ですが、どうしてもの時は必ず「コミック向き」「品質優先」で保存してください。

■素材を利用して適切なレイヤー設定をしなかった
クリップスタジオでは便利な素材をダウンロードして使用する事ができますが、想像していたものやWEB公開用に描いたものと、同人誌入稿用に書き出したファイルのイメージが違ってしまったことはありませんか?
素材にアンチエイリアスが掛かっていてその部分だけモアレが発生したり、グレーで描かれた模様や細い線が印刷にほぼ出なくなってしまう事があります。
素材の特徴ごとにレイヤーの設定をすると、再現度が上がります!

例1:模様が見えなくなってしまった
グレーで描かれた素材を使った時に、モノクロレイヤーに描写、または書き出しで「モノクロ2階調(閾値)」を選択してしまうと黒か白の2色にきっぱりと分かれてしまいます。(⇒閾値書き出し) グレー素材
グレーの雰囲気を残したい場合はグレーレイヤーに描いた上で、書き出しの表現色も「グレースケール」を選択してください。
アミ点になっていい場合は、「効果」からアミ点化するか、書き出しで「モノクロ2階調(トーン化)」を選択してください。 グレー素材

例2:線画が点線になってしまった
細い線にアンチエイリアスが掛かっていたり、黒(K100%)ではなくグレーで描いてトーン化することで、そのような現象が発生してしまいます。 線画
線画のレイヤーをモノクロ化することで軽減できます。 線画
  • 塗りや素材でグレーレイヤーを含む場合、モノクロにするのは線画のレイヤーのみで書き出しはグレースケールにしてください。
    線画を太さのあるグレーにしている場合やテクスチャありのペンで描写する場合は、レイヤー・書き出し共にグレースケールのままご入稿ください。

例3:アミ点の素材を使った部分だけモアレが出てしまった
素材を貼った後に拡大縮小した場合のほか、元からアンチエイリアスが掛かった状態の素材が配布されていることがあります。
トーン化、またはそのまま入稿するとモアレが発生したり、アミ点の並びがあまり綺麗ではなくなってしまいます。 アミ点素材
例2の線画と同様、アミ点素材を使う場合はレイヤーをモノクロ化すると軽減できます。 アミ点素材
  • 塗りや他の素材でグレーレイヤーを含む場合、モノクロにするのはアミ点素材のレイヤーのみで書き出しはグレースケールにしてください。